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個人で単身 引越

なんとか存続してゆけるだけの利益を提供していたのがS家の婿養子として重役陣に入っていた鈴木修が素人の大胆さで当時のベンチャー企業、ホープスターから商品化権を購入していた軽四駆車ジムニーだった。
その後、四駆車ブームが到来するが、当時はまだ山林作業者や、僻地で往診する医師か、かなり変わった好き者だけが乗る特殊車両といってよかった(記者は取材用に免許取得と同時に購入した)。 「ジムニーがなかったら、いまのスズキはなかったです」(S)だったのであり、リスク分散経営の典型例である。
この辺りの経緯については、拙著「『ジムニー』が拓いたSの経営」(にっかん書房)でレポートしている。 このSのケースは、天然ガス自動車の可能性についての相似形的なイメージを提供しているかも知れないと考え、あえて余談のなかに入れてみた。
個人的な興味もあって、記者は日本の古代史を伊勢神宮を中心に研究をつづけてきた。 拙著「現代文明改造論」でその内容は発表したのだが、神代の時代と呼ぶべきか日本の古代に創建された伊勢神宮は、いまの伊勢市から直線距離にして三十数キロ程離れた宮川沿いの深山幽谷に、ほとんど同時期にも滝原の宮という影の伊勢神宮≠つくつているのである。

伊勢湾に注ぐ河口から数キロ程さかのぼると、宮川の両岸は急峻な斜面も断崖になる。 もしも大陸方面から古代の軍隊が日本に侵攻し、伊勢神宮がある海岸平野を占韻、やがて軍用船艇をもって宮川を遡上してきても、優位にゲリラ戦を展開できる地形なのだ。
周囲の地形も容易に外敵を寄せつけない。 こうしたリスク分散はまったくあたり前の責任として、古代から責任ある者たちは、多額のコストをかけてきた。
ずいぶんと長く、リスク分散の必要性について述べさせていただいた。 というのも日本では、リスク分散といってもコトバでは理解しても実際、「なんのこと」といった人が記者の周囲でさえかなり多いからである。
かつてイザヤベンダサンと名乗る評論家が「日本人は水と安全はタダと思っている」と喝破した書「ユダヤ人と日本人」を発表してベストセラーになったが、いまだにその通りのようでもある。 安全を買うには、コストがかかる。
しかも幸運にも安全が保たれていればまったく無駄に捨てることになってしまうコストである。 ここで記者が提唱するのは、同じコストをかけるのなら、それが直接の目的である安全の購入だけではない、なにか役に立つようなコストのかけかたである。
個人なら、遊び、美容と健康のスポーツでもいいし、知識教養でもいい。 企業ならば研究開発、それも利益の出る研究開発が望ましく、国家なら科学技術力も経済力、国防力などで発展性がある分野がいい。
では、天然ガス自動車の存在理由をリスク分散のためと限定したとして、発展性があるかどうかと言えば、この本では‥‥近未来の燃料電池自動車など「水素エネルギー文明」の水素ガス供給システムに役立つかも知れない発展性がある。 将来、石油資源が枯渇し、メタンハイドレード文明の時代が到来するとすれば、そのときのために役立つ発展性がある。
「南」の国々でもメタン系バイオマスエネルギーの利用システムとして役立つ発展性がある。 天然ガスエンジンの自動車以外の利用をひらく発展性がある‥‥などを指摘することができるのではないか。
個人、企業、国家の安全保障策として、それが戦略と呼べるのかどうかは別として、強者に従属して安全を求めるという戦略がある。 たとえば子どもたちが、親に従属″することによってその安全を確保しようとするのは至極当然の安全保障策だし、古来、夫婦や、恋人たちの関係においても男性に、女性は安全保障を求めてきた。
二十一世紀からは、こうした男女関係がどのように変化してゆくのかはこの本のテーマではないが、従来はそうした傾向があった。 「強者に従属する戦略」は、女性的な戦略といってもいい。

一国の安全保障追求のためには一方の文明圏、文脈いえば二十一世紀のアジアの軍事超大国中国に従属してしまえば、日本の安全保障は保たれるという国際政治思想は、戦略としては成立する。 かつてのソ連邦の東側衛星諸国のようにもあるいはかつての中国の冊封(さくふう)国琉球のようにである。
琉球は遣いを大金をかけてもてなさなければならなかったし、幕藩体制の日本に対しても同時に従属し、一般庶民は残酷な酷税にあえいでいた。 二十一世紀からの東アジアの国際情勢のなかでも日本がこうした戦略を採用することはできないし、また断じて採用してはいけない。
影響力のある活字ジャーナリストの多くは、硬派であるために、多様な性というテーマを無視するかもないがしろにしてしまう構造的欠陥を抱えている。 しかし旧植民地の国々の体質というものに肌で接してきた記者としては、このテーマを避けて通るわけにはゆかない。
強者に従属する戦略は、従属国の女性観をゆがめる傾向を持つ。 強者の国の男性は従属国の女性に、風俗として、一般的な感覚では、屈辱的、隷属的、奴隷的な性行為、性頬似行為を求める傾向がある。
従属国が支配国に自国の女性を性的に提供することもまた歴史的なならわしでもあった。 終戦後の日本でも同様でも記者の本棚には「占領下の犯罪事情」というレポートもある。
そうした屈辱的、隷属的、奴隷的な性文化は、感受性豊かな従属国の男性たちの一部に極めて深刻な精神的打撃を与えて精神を痛めっけ、自己とプライドを喪失させ、退廃させてきた歴史的な現実を記者は目の当たりにしてきた。 植民地支配から独立を勝ち取って半世紀余りを過ぎてもなお、そうした精神構造は深層に濃厚に残存しつづけるのである。
民族と国家にとっては、死を興しての独立か、従属かと問われれば、独立自尊の自由、独立しかありえないはずなのである。 民族と国家のプライドを守り、無駄な「死」を賭さないためには、あらゆる分野で営々と強鞠な安全保障体制を構築しつづけなければならないのである。

自動車エネルギーの多様化は、その重要な柱となるはずである。 激動する世界情勢の進展はますます微妙になってきた。
イラク上空には暗雲たちこめ、いつ米軍が総攻撃の火蓋を切っても決しておかしくはない状況がつづいている。 最初の原稿が校了されてからすでに2年余りの歳月が流れてきた。
奇妙な言い回しだけれど肝余曲折の流れにまき込まれていた。 読者諸賢の多くがご明察されるようにもこうした分野の出版プロジェクトには結構複合的な力関係が作用する。
活字の影響力がそれだけ強いということでもある。 その後、国際情勢の進展にともなってごく一部が書き改められた。
外部からの圧力で書き改められてというのではない、逆にもさらにいっそうテーマを強調するためにであるが、アフガニスタン戦争が勃発した。 世界情勢は今世紀中、イスラム文明圏で膨張する宗教的な圧力、かんばつも異常気象、病害虫の異常発生の原因となる地球温暖化が引き起こす環境的圧力もそして超大国化する中国の政治的、経済的、軍事的圧力を受けて激動をつつける。
東アジアでは今世紀初墾台湾海峡と東シナ海方面で、民族の誇りとも未来、の希望をかけた戦争が激しく燃え上がる可能性が強い。 そうした世界情勢の中に天然ガス自動車の存在理由がある。

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